大横綱もびっくりだ。大相撲九州場所12日目(23日、福岡国際センター)、幕内熱海富士(21=伊勢ヶ浜)が大関豊昇龍(24=立浪)を破って10勝目(2敗)。大関霧島(陸奥)とともに優勝争いの首位を守った。豊昇龍に土俵際まで寄られたが、回り込みながら突き落としを決めて逆転勝ち。大関戦で初白星を手に入れた。
NHKの大相撲中継で解説を務めた宮城野親方(元横綱白鵬)は「豊昇龍のほうが硬くなってましたね」と指摘する一方で、熱海富士については「大関相手に胸からいって勝つって…どういうこと?」とびっくり。優勝45回を誇る大横綱も驚きを隠せなかった。
その熱海富士は花道を引き揚げると「勝ってうれしいのが一番。体が動いてよかったです」と笑顔。初めて経験する結びの一番にも動じなかった。普段よりも遅い出番に緊張する力士も少なくない中で「先場所も千秋楽の決定戦で取ってるんで。遅い出番? そのほうがゆっくりできるんで、うれしい」と言い切った。
秋場所では千秋楽の決定戦まで優勝を争った。〝一発屋〟で終わらず、2場所連続の優勝争いで実力を証明。さらに白星を重ねれば、初土俵から所要19場所での史上最速優勝も見えてくる。熱海富士は残り3日間へ向けて「一番一番、頑張れればいいです」。今場所も21歳の若武者から目が離せない。