経団連・十倉会長(写真:つのだよしお/アフロ)
11月6日、経団連の十倉雅和会長は、定例会見で、当初のほぼ2倍となる最大2350億円に膨らんだ大阪・関西万博の会場建設費について「やむをえない」と強調した。
2018年当初、日本国際博覧会協会(万博協会)は、2005年愛知万博の費用をもとに会場建設費を1250億円としていた。だが、2020年に1850億円に増額。さらに今回、2350億円になり、当初の予定からほぼ倍増することとなった。
十倉会長は万博協会の会長も務める。十倉会長は度重なる増額についてこう述べ、理解を求めた。
「その頃はデフレの真っ只中でありますから、こんなにインフレ・人手不足が起こることは頭になかったと思います。申し訳ありませんが、やむをえないものだと思っています」
一方、建設費が約350億円かかる世界最大級の木造建築物「リング」(大屋根)について、十倉会長は世界分断の危機の時代に「連携」を示す象徴的意味があるとして、「ぜひやりたい」と意欲を示した。
「僕は必要だと思う。リングは建設が始まっていると思う。2021年に(万博)協会会長を引き受けたんで、過去にどういう議論があったか詳しく存じ上げているわけではないが」
大阪万博では、当初、シンボル的な建物を設ける予定はなかった。だが、会場デザインを務める建築家の要求で、2020年12月に「リング」が加わり、350億円をつぎ込むことになった。
「リング」は6月末から建設が始まっており、2025年2月ごろの完成を目指している。万博閉幕後には解体し、木材を民間に売却する方針だ。
だが、11月3~5日、共同通信社が実施した世論調査で、大阪万博開催について「不要だ」は68.6%にものぼった。
SNSでは、十倉会長が、会場建設費が2350億円に膨れ上がったことを「やむをえない」とする一方、350億円かかる「リング」を「ぜひやりたい」と語ったことに憤激の声が巻き起こった。
《マジでこの経団連会長の十倉とか言うジジイは、この世のカネは全部自分が思い通りに使えるとでも思ってんのか?! ホンマ、庶民を怒らせる天才だわ…》
《人の金だと思うから 自社で予算超過でもやるのかよ トップ辞任ぐらいの大問題のくせに 他人事だよな》
《やむを得ない、じゃないが? 受け入れるんじゃなくてストップかけろや そもそもやむを得ないっていうのなら経団連が全額『自費』で負担したらえぇやんけ》
9月19日、十倉会長は記者会見で、「若い世代が将来不安なく、安心して子どもを持つには全世代型の社会保障改革しかない。それには消費税などの増税から逃げてはいけない」と述べたことから、SNSでは《法人税増税から逃げるな!》と反発する声があがっていた。
10月10日には、経団連が政治献金の判断基準となる主要政党の政策評価を発表。自民党を中心とする与党に対し、10年連続で高評価を与えた。一方、少子化対策の財源をめぐって消費税増税を検討するよう改めて同党に求めたことから、ネット上では《大企業のための消費増税ではないか》とさらなる批判があがった。
大阪万博の会場建設費が最大2350億円と500億円上振れしたことで、国、大阪府・市、経済界はそれぞれ167億円を追加負担することになる。SNSでは、追加負担分をクラウドファンディング(CF)で集めるべきという声も多い。
おりしも、国立科学博物館がCFで約9億円集め、群馬県の病院で救急車の買い替えに向けたCFが始まったと報道されたばかり。そのため、
《なんで国立科学博物館と救急車がクラファンで、万博開催が税金なん?》
《大阪万博の追加費用こそクラファンで集めたらどうだろうか》
《税金で救急車買って良いからクラファンで万博開催しなよ》
との批判が多く寄せられている。たしかに、「リング」の建設費をCFで募れば、350億円は浮くのだが……。